COLUMN

イラストレーションレシピ

2010.05.07

はじめに

イラストレーターの展覧会場で一番多い会話が「これ画材は何ですか」と「どうやって描いたのですか」です。話題に困ったときに多く使いますが、初対面なら100%挨拶代わりに用いられると言っていいでしょう。大阪の商人の「儲かりまっか?」「ぼちぼちでんな」と同じようなものです。


というわけで、この本は画材と技法をテーマにしているものの、あまり生真面目に読んで頂く必要はありません。ですからレシピ本といってもその通りに描いて同じものが描ける訳がありません。(あたりまえですが)


が、しかし画材データに関しては、これから絵を描き始めようとする人でも画材屋に行ってすぐ購入できる程度の詳しいデータを載せていますし、技法に関して言えば人それぞれ詳しく行程を解説している人もいれば、精神的に重要な部分を披露している人もいますので、絵を描くうえで充分参考になると思います。(期待過多は禁物)


ここに掲載されている120人のイラストレーターは広告、出版などいろいろなジャンルで活躍している人たちですから、気になるあの絵を描いた人が必ずいることでしょう。読んで頂ければお分かりになると思いますが、そのイラストレーターの人間性までもが垣間見られること間違いなしです。イラストレーションで本当に必要なのはどんな道具を使いどうやって絵を描くかではなく、その人の内面がいかに重要か、そんなところをわかって頂ければ幸いです。

 


TIS出版委員会

 

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